はさみの正しい持ち方

◆ハサミの知識◆

ほとんどの方がご存知ありません ハサミの正しい握り方、良い鋏の見分け方、研ぎのご注意

1.はさみの正しい持ち方

はさみの正しい持ち方をご存知ですか。
輪がある裁鋏、洋鋏などは人差し指は輪に入れず、輪の前に添えます。
こうすることにより、鋏が安定し、また細かい作業ができます。
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・理容はさみは指を入れる輪が小さくできています。
薬指を輪にひっかけるように浅く入れ、小指はベラ(ヒゲ)にのせます。反対側の輪に親指をやはり浅く入れて、薬指を通した方の刃を定規のよう頭髪に当て、親指だけでもう一方の刃を動かします。理容はさみは髪を切るために何回も親指を動かしますので、動きの重たいはさみですと、指が疲れて動かなくなります。
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・手術用などの精密なカットが必要な場合には、親指と薬指を輪に通し、中指は輪の前に添え、さらに人差し指はハサミのネジの頭部分に添えて刃の先端の位置を精密に確保します。
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2.はさみの命は「刃の裏」

はさみは左右の刃の裏側の角をすり合わせることで、物を切っています。刃の裏は角が当たるようにわずかですが中央を凹ませてあります。(裏透ウラスキ)
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錆や汚れを取るために刃の裏側を紙ヤスリや砥石でこすらないでください。
刃裏の研削は特別な機械でしかできません。
はさみをご存じない方ははさみの刃裏を研がれますが、はさみを壊していることになります。
(植木鋏、生花鋏などの刃裏は平面です。)

3.切る目的物によりはさみを使い分けしてください。

特に布を切られる場合は、厚地、薄地、天然繊維、合成繊維などで複数の鋏を使い分けていただくと永持ちします。布地をお切りになっている裁鋏で紙を切りますと、布地が切りにくくなります。紙の繊維は硬いため刃の傷みが大きくなるためです。
布地により、最適な刃先の小刃の角度、研ぎ目の粗さが異なります。研ぎ直しにより最適のはさみにカスタム化することができます。

4.扱いは丁寧に

・はさみを投げたり、落としたりしますと調子がくるって切れなくなります。
・切る物をはさまず、刃を開閉することを「カラ切り」といいますが、特に高級な裁鋏、理容鋏などでカラ切りしますとそれだけで刃が傷みます。
・刃裏に接着剤やテープがついたままですと、錆の原因となりますので、使用後はきれいに拭き取ってください。
・生花鋏、植木、盆栽、剪定鋏などは使用後必ず樹液などを拭き取ってください。樹液が固まって刃が動かなくなることがあります。
・ステンレス製の理容鋏は水でよくすすぎ、汚れと水分をきれいに拭き取ってから完全に乾燥させてください。毛髪には汚れや細かい塵が付着しています。

5.ときどき、ネジ部分に機械油をつけてください。

また刃の裏に油を一滴たらしティシュで拭いてください。刃の動きが滑らかになり、刃持ちが良くなります。
ネジの調整は刃物専門店にご依頼ください。ネジ山が壊れますと修理ができなくなります。

6.はさみの研ぎ直しは京浜刃物専門店会のお店で

はさみは砥石で手研ぎするようなことはいたしません。 特別な機械により刃付け研磨をします。
刃の角度、砥石の粗さ、研ぎの向き、二つの刃の擦り具合、ネジの調整などが正確に行われて初めてすばらしい切れ味が戻ります。いたずらに砥石や研ぎ器で研ぎますとかえって切れなくなったり、はさみを壊したりすることになりかねません。
とくに高級裁鋏・和鋏、理容鋏、繊細なししゅう鋏などは、はさみを熟知した刃物専門店に研ぎ直しをご依頼ください。

7.ステンレス鋼板を打ち抜いたウラスキのない鋏はお研ぎ直しできません。

はさみは品質による価格の差が大きいものです。刃物専門店で実際に手にとって道具としてのバランスや使い易さを実感してからお買い求めください。

良いはさみの見分け方

・ウラスキ(刃裏の凹み)があるか。
高級なはさみは刃の元から先端までなめらかに切れるようにウラスキがあります。

・刃の反りが少ないか。
左右の刃のカドが常に一点で接触するように左右の刃はわすがに内側に反らせてあります。
必要以上に反りが大きいと、刃を閉じたときに刃の先端付近で動きが急に重くなり、切りにくくなります。

上記のふたつの条件を満たすはさみは腕の良い鋏職人が時間をかけて調整しないとできません。
良いはさみは刃の開閉がおどろくほど軽く、スムースにできます。

東京は古くから、鍛造手造りの裁鋏、洋鋏の産地でした。現在でも数は少なくなりましたが鋏鍛冶が最高級のはさみを製作しております。
東京製高級裁鋏には「東京刃物」「東鋏」の表示があります。

written by 井上武(銀座菊秀)