まず、どんな庖丁が研ぎなおせるのか?どういった方法で研ぐのかについてです。

庖丁は刃が欠けたらもう使い物にならないと思っていませんでしたか?
自分で、庖丁は研いでいるという方も実は変型して使い辛くなっていませんか?
こんな風に直せますよ。

☆刃の欠けた庖丁は直るか?

出刃庖丁や三徳庖丁で冷凍食品を切られたりして刃が欠けてしまった庖丁はどこまで研ぎ直しできるでしょうか庖丁の形状や用途により異なりますが、深さ5mm程度の刃こぼれは研ぎ直しが可能です。
刃こぼれした深さまで全体を削り落とし、新しく薄く削り直しますので、手間が掛かります。

刃先だけ削って鈍角に刃をつければ簡単ですが、元の状態と同じように刃角をつけるのは大変手間の掛かる仕事です。グラインダーのような機械で削れば短時間で済みますが、焼きが訛る危険があります。

砥石で問いでしまえば、表面は同じ色になってしまうのですが、刃持ちは全く違ってしまいます。 刃に熱をかけないで薄く研ぎ直すためには専用の機械と熟練した技術が必要です。

また庖丁自体の品質も重要です。新しくお買い求めになった方が安い場合もありますので、 わたしどもにお持ちくださればお見積もりをいたします。 修理代を確認した上で、研ぎ直すか、やめるかをご判断いただければ結構です。

写真は約5mm欠けた庖丁です。
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☆研いで使っているうちに刃の形が変わってしまった庖丁は?

料理人の方が毎日研いでいると減りも早く、下図のように変形してしまった庖丁を研ぎ直しにお持込になるケースがあります。 砥石に当てて研ぐ際、中央は研ぎやすく、刃の元は厚いため減らないためです。

また先端部は砥石に当てる角度が適切ではないため、減りが少なくなり残ってしまうのです。 このような庖丁も研ぎ直しを依頼されれば使いやすいラインに修正することができます。
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ただしあくまで刃を削ってラインを直しますので、どのように削って新しいラインを作るかは庖丁を持参の上お尋ねください。 刃のラインだけではなく、刃の厚さも修整します。 使いにくくなった庖丁を無理して使っていても能率が上がりません。ぜひ研ぎ直しにお出しください。

次に、パンきりのように波形の刃は研げるの?といった質問や
こんなこともできますといったことをいくつかご紹介いたします。

◇研ぎと錆び落しの違い

錆びる炭素鋼庖丁の場合、お手入れが悪いと庖丁全体が赤や茶色になって使うのも不衛生といった感じに錆びているものが見受けられます。 錆びを落とすのは研ぎ直しと全く違う作業ですので、研ぎ直しとは別の料金が必要となります。

錆びは軽いうちはクレンザーなどで磨けば目立たないようになりますが、 ひどくなると鋼の中に深く浸透していきますので、刃の表面全体を削り落とすしかありません。これは大変手間の掛かる作業になります。

特に新品と同じようにするためには、刃の表面に傷がなくなるまで削り落とし、そのあと研磨する作業があります。 日頃からなるべくクレンザーなどで磨いてください。

◇ステンレス庖丁の研ぎ

最近はステンレスの庖丁が多く使われ、刺身庖丁や出刃庖丁にもステンレス製がありますが、 ステンレス鋼の庖丁も研ぎ直しは同じようにできます。

ただし、ステンレス鋼は、その種類が多く品質の差が大きいので中には非常に研ぎにくい材質もあります。 ハイスピード鋼や粉末冶金製法による合金鋼などをお買い求めになった時は鋼種の表示を保存しておき、 研ぎ直しを依頼されるときに鋼種をお知らせいただければ最適の研ぎを行うことができます。

また、鋼ではなく、ファインセラミックスやチタン合金、コバルト合金のステライトなども使用されるようになり、 研ぎの技術もますます高度になっています。

◇波刃包丁の研ぎ

パンきりや冷凍庖丁には刃が波の形にけずってあったり、細かい鋸刃状になっているものがあります。
このような庖丁はメーカーがそれぞれ特別な形状の砥石を使用して刃付けをしていますので、そのメーカーに戻して研ぎなおしてもらうのが最適です。 お買い求めのお店にご相談ください。

研ぎ直しの手間が掛かるため、価格的に研ぎ直しをしても合わない場合もありますので詳しくはご相談ください。

◇柄、ハンドルの交換

特にご家庭でお使いになっている炭素鋼(錆びるはがね)製の庖丁は長年使用されているうちにハンドルの芯になっている 鉄の部分に水分によりさびが発生し、錆びが膨らんでハンドルを止めている鋲をはずしてしまうまでになります。 刃の部分は何でもないため、ハンドルを取り替えたいというお客様が多くいらっしゃいます。 特に長年使ってご自分の手になれた庖丁に対する思いは大きいものです。

一般的にはハンドルの交換は可能です。ただしあまり錆びが進んでいると、修理の際、ハンドル材をはずして芯金の錆びを落としていくと、 芯がボロボロで途中から折れたり、芯として耐えられないほど薄くなってしまうような場合もあります。 このような場合は危険ですのであきらめていただくしかありません。

和庖丁でも同じで、柄の中に差し込んである芯金が、錆びを落としてもしっかりしている場合は当たらしいつかに交換することができます。 いずれの場合も庖丁をご持参の上、ご相談ください。

以上、研ぎについてでしたが、といってもどこにいけばいいの?
というかたのために…

☆どこに頼んだら安心できる?

研ぎ直しに出したらかえって切れなくなったとか、刃を壊されたので研ぎ直してくださいと刃物をお持ちになられるお客様がたくさんいらっしゃいます。
刃物を熟知し、お客様の用途を理解し、1本1本お客様の使い道に会うように研ぎなおすのが、本来の研ぎ直しです。 仕上げの微妙な調整は手研ぎで行う信頼できる当組合加盟店にお任せください。

特殊な刃物や用途で研ぎなおしてくれそうなお店をご存知ない場合もとりあえず加盟店にご相談ください。 その店ではできなくても刃物ネットによりご要望に沿えるようなお店をお探しします。