皆様からお寄せいただいたご質問とその回答を掲載いたしました。
あくまで一般的な回答ですので、個々の事例につきましては
直接京浜刃物会加盟店にご使用の刃物などをご持参のうえお問合せください。
■質問をクリックすると回答が見られます
お使いになる方のこだわりによります。
- 食い込みが良い—食材に刃が抵抗無く入っていく。
- 刃が薄いこと—家庭用三徳、牛刀の背中の平均的厚さは1.8mmです。これより厚いと重く感じます。ツバ付三徳の実重量は軽いもので140g、重いもので180g程度です。
- 刃肉の取り方がうまい—包丁の背から刃先に向かって鋼材を薄くしていく削り方・研ぎ方。刃先で2段に刃をつけず、刃の先端まで凹凸なくきれいに薄く研削されていること。 刃先まで薄くなっていないと、食材を薄く切ったり、細かく切ったりできません。
- 刃の表面がなるべく細かく磨かれている—食材との抵抗が小さくなり、食い込みが良い。刃の先端まできれいに薄くしたり、凹凸なく細かく研磨するのは手間がかかります。「研ぎ」はもっとも繊細な作業で、時間も手間もかかります。それだけに丁寧な研ぎが施された包丁は価格が高くなります
- 永切れする—刃持ちが良い。研ぐ回数が少なくて済む。鋼材の選択と鍛造技術。
- 鋼材の種類—洋庖丁はほとんど工場生産。 高級品を例外として鍛冶屋の鍛造品はほとんど無い。そこで重要なのは鋼材の種類、機械による鍛造・研削の技術、熱処理の技術など、とくにステンレス製は良いものとそうではないものの差が非常に大きい。 良い鋼材は加工、熱処理が難しく、高度の技術が必要になります。
- 機械による鍛造技術—鋼材の組織が破壊されないように鍛造する技術。
- 熱処理の技術—鋼に命を与えるのが焼入れ、焼き戻し工程です。工場でおこなう熱処理にはいろいろなグレードの方法があります。ステンレス鋼の高級な焼入れ、焼き戻しはコンピュータ管理で行われます。その設定には高度のノウハウが必要です。熱処理のやり方で良い鋼も駄目になります。
- 刃の硬度—硬さ以外に適度の靭性(ジンセイ 粘り)も必要です。硬度と靭性は相反する性質で、この両方をいかにバランス良く引き出すかがメーカーの技術です。鋼材、鍛造、熱処理はこの三要素です。
☆鍛冶が手造りで鍛造する刃物はその経験と勘により、上記の作業を行います。
ステンレス鋼でも熟練した鍛冶が鍛造した包丁は組織が緻密になり、永切れします。
- バランス—使い勝手の良い庖丁はバランスが良い。
- 刃の重さとハンドルの重さ—お使いになる方の感覚です。通常は前(刃の方)が重く感じます。しかし軽すぎても使いにくいものです。重みで刃が食い込んでいくからです。
ご購入の際、かならず包丁を実際に握ってみてください。
バランスの良い包丁は実際の重さより軽く感じます。どこか指にぶつかったり、しっくりこないハンドルもあります。
必ずハンドルを握って確かめましょう。
- 刃の重さとハンドルの重さ—お使いになる方の感覚です。通常は前(刃の方)が重く感じます。しかし軽すぎても使いにくいものです。重みで刃が食い込んでいくからです。
- 仕上げ研ぎ—お買い求めの際、仕上げ研ぎをしてもらいましょう。
- 刃物専門店ではお買い上げ時に仕上げの刃付けをします—三徳でしたら3〜5分でできます。
粒子の細かい仕上げ砥石で磨くことにより、刃持ちや食込み方がかなり違ってきます。
また店の方が、包丁を研げるかどうかを見分けることにもなります。
研げる店員さんは包丁の知識が確かです。包丁の良し悪しは研ぐことで判断できるからです。
- 刃物専門店ではお買い上げ時に仕上げの刃付けをします—三徳でしたら3〜5分でできます。
上記のような包丁の品質は、見ただけではなかなか違いがわかりません。
- 見た目で判断できる高級品の基準は
- 洋庖丁–ツバ(柄と刃の間に付いている口金)がついている。
刃先の小刃の幅が細く(0.5mm以下)で光っている(細かい砥石で仕上げてある)。 - 和庖丁–「カツラ」の材質:柄の先端にはめてあるカツラが金属やプラスチックではなく、水牛がはめてある。
刃の表面の研磨が細かく仕上げてある。
- 洋庖丁–ツバ(柄と刃の間に付いている口金)がついている。
店頭で包丁を握って見比べてみてください。
食材の大きさにより使い分けていただく為です。
出刃は90mm(3寸)から15mm刻みで180mmまで。その上は30mm刻みで300mm(尺)以上まであります。
ご家庭用のスタンダードサイズは150mmですが、これに小出刃として105mm、または120mmがあればほとんどカバーできます。
サイズはあくまで目安です。小出刃で大きな魚をさばく方もいらっしゃいます。
切れ味には大きく分けて「喰いこみの良さ」と「永く切れが止まらない」の2種類があります。
セラミックは陶器と同じ成分ですからその硬さは鋼以上です。しかし鋼のように薄い刃をつけると刃欠けしやすくなります。
セラミックの包丁は進歩が速く、メーカーによる差も大きいものがあります。一般的には刃持ちは良いのですが、食い込みの良さ(刃の薄さ)は鋼製にかないません。
セラミックは臭いは付きにくいのですが落とすと割れてしまう危険もあります。研ぎ直しは手研ぎの砥石ではできません。メーカーに送り返すことになります。
プロの料理人でも気にする方はそのために数本の包丁を交代で使用しています。
また、ステンレス製やセラミック製の包丁は炭素鋼製より臭いがつきにくいと言われています。
錆落しと研ぎ直しはまったく別の作業です。錆落しはスポンジにクレンザーをつけて表面を磨いてください。
またはサビトールのような錆を削り取る研磨剤を使用ください。
研ぎ直しは先端が減って丸くなった刃を新しくつけ直す作業です。
同じ包丁でも4、5年で買い替える方もいらっしゃれば、30〜40年ご使用になる方もいらっしゃいます。
日頃のお手入れによってご使用になれる期間は異なってきます。
安価な包丁を次々と買い換える方や高価な包丁を大切に使われる方では判断の基準が異なります。
研ぎ減りして刃の幅がオリジナルの2/3程度に細くなった場合、刃先部分の厚さは1.5ミリ(刃の背厚さ2.0ミリの場合)になりますので、機械で刃を削り直さないとオリジナルの刃角よりかなり鈍角になり、食い込みが悪くなります。このあたりまで減ったら研ぎ直すより新しい包丁を購入された方が良く切れるはずです。50年ほど前までは毎年大晦日に包丁を買い替える方がたくさんいらっしゃいました。
ダマスカス鋼といっても三層になっており、模様の出るダマスカス鋼の中央に刃物鋼をはさんだ三層になっていますので切れ味はその刃物鋼によります(ステンレス鋼も炭素鋼もあります)。手間をかけて鍛造することによりダマスカス鋼の複雑な模様ができますので、刃物鋼も当然最高の材料を使用しています。あとは研ぎ方次第です。
左用の和包丁は店頭に無くてもご注文頂ければ、割合早く入手することができます。
在庫してあるお店もありますので個々のお店にお問い合わせください。
★研ぎ直しについて
但し研ぎ方がうまくなければいい刃はつきません。
仕上げ砥石を使用した繊細な研ぎをすることで完璧な刃に仕上がります。
(※はさみは砥石では研ぎません。専用の機械で研ぎ直します。ご注意ください。)
ステンレス鋼は種類が多いので種類によっても砥石を選ぶ必要があります。天然砥石より合成砥石の方が研ぎ易いと思います。
どんなステンレス包丁でもお研ぎ直しできますが、刃持ちはステンレスの材質によりかなり差があります。最近の高級ステンレス鋼製包丁は炭素鋼製と区別がつかないほど切れ味が良くなっています。
砥石は粒子が一定になっており、研ぎ易いように水によって粉に戻るように水溶性の凝固剤により固めてあります。 茶碗はそのようなことはなく、また硬く焼き固めてありますので、刃を痛めるだけです。昔のなまくらな包丁は研げても最近のしっかり熱処理されている包丁は刃が荒れたり、欠けたりするだけですので、おやめください。
幅がせまくなると刃厚も厚くなるので、最初と同じ刃角を維持するためには、かなり刀身の厚さをを削り落とす必要があります。
刃物専門店に研ぎ直しを依頼して、全体を薄く削り直してもらってください。
但し研ぎ代は高くなりますので、刃幅がオリジナルの2/3程度になりましたら寿命と思い、新しい包丁をお求めになった方がお得になると思います。
料理人は自分の使用する包丁は研げますが、洋食の料理人が和食の包丁を研ぐことは通常できません。
私ども、研ぎ直しに携わるものは、いろいろな種類の刃物を、また自分が使うものではない刃物を研げるよう訓練しています。
ただ研ぐのは簡単ですが、お客様が使いやすいように研ぐのはまた別の技術が必要です。
鉋の刃は片刃ですが、鉋や鑿のように直角に削る刃物と包丁のように引いたり押したりしながら切る刃物とは刃の付け方が異なります。包丁は両刃と片刃もありますので、それぞれに適した刃付けをしていただく必要があります。
曲がって切れていく原因は包丁にあるのか、研ぎ方にあるのかは拝見しないとわかりません。
いちど加盟店に研ぎ直しを依頼してみてはいかがてしょうか。
刃物の研ぎには熟練が必要です。包丁が砥石にあたる角度(刃角)を変えないように砥石の上を動かさないと、刃を丸く研ぐことになりかえって切れなくなります。
研いでも切れないと思われたら一度京浜刃物会加盟店に研ぎ直しを依頼してみてください。研ぎ方の違いがわかると思います。どんな安い包丁でも研ぎ直した瞬間は鋭い切れ味がでます。ただその切れ味をだすのによけいに手間がかかることになります。(メーカーがしっかりと研ぎこんでいないため)。ですから研ぎ代は高級包丁より高くなることがあります。
京浜刃物会加盟店にてお尋ねください。研ぎを実演しているところを見ていただくのが一番理解しやすいはずです。
砥石で包丁をこすれば研ぎができると思われている方が多くいらっしゃいます。研ぎはひとつの技術ですので技術が無ければ、切れ味や刃持ちの良さは期待できません。正確な研ぎをマスターするには私どもでも5年はかかるように思います。
但し基本は、刃と砥石の角度を常に一定に保持しながら研ぐことです。かみそりのような切れ味は包丁には必要ありません。かみそりのように研げたとしても、刃が薄すぎて刃こぼれがひどくなるはずです。
刃物は用途によって刃角や仕上げの目の粗さが異なります。また包丁によっても刃角や目の粗さを変える必要があります。
ダイヤモンドシャープナーやシャープニングスティックの正しい使用法は当ホームページの「洋包丁のタッチアップ」をご覧ください。